ママに冷たく

俺がぬこのため帰省できないので、母がわざわざ帝都に来ている。分子栄養学の話ばかりしている。鬱陶しい。ヘッドフォンして、無視していたら、帰ったらしい。一緒にご飯でも食べに行きたかった。愉しい会話がしたかった。

母に冷たい態度をとってしまう。分子栄養学、と言うか、ケンビファミリー(KYB)の話ばかりするからだ。何だか、私のことを心配してくれているのではなく、女の子がマイブームを独りで騒いでいるみたいだ。相手にしたくない。そして、冷たくあたる自分を嫌悪する。この繰返し。ストレスを感じないと言えば、嘘であるし、話のあとはひどく、しばらく気落ちする。もう厭なんだよ……だれか母をとめてください……とめてあげて……KYBから救い出してあげてください……なんでこんなことに……あああ、うう、きもちわるいよ……きもちわるい。

無視したことを後悔して、帰り着いた頃に電話したら、「今日は惨敗したけど、分子栄養学を勉強し直して、いつかサプリメントを呑ませてみせる」みたいなことを言われた。ダメだこいつ……早く何とかしないと……。まずは周りのディレクタと呼ばれる人間たちから崩す必要がある。論理的、かつ、定量的なデータをもって。連絡先は聞いた。待っていろ、ディレクタ。必ず母を救い出してみせる。